政府が旅行費用を一部負担する「We Travel Together」。 その補助金を不正受給する詐欺行為とは…
停滞している日本経済の再始動を図ろうと立ち上げられた「Go Toトラベル」事業。現在、日本では一時休止状態で再開のタイミングが検討されているようだが、タイでも“タイ版Go Toトラベル”とも言える「We Travel Together」が展開されている。
これは昨年の新型コロナウイルス第1波後に落ち込んだ観光業を救うためにスタート。
今年4月に始まった第3波で継続が困難となっていたが、陽性者数が減少し始めた10月から再開となった。
この「We Travel Together」キャンペーンは、政府が宿泊施設利用料と国内便航空券代金の40%を補助し、1日600Bの食事代金を旅行者に供与するというもの。
ところがキャンペーンの運用システムを悪用した大掛かりな詐欺事件が話題となっている。
事を起こしたのは、旅行業者と組んだ29人の共謀者。
彼らは500Bから1,500Bで他人の身分証明書番号を違法に買い上げ、キャンペーンを利用して東北部チャイヤプーム県にあるナットチャヤー・リゾートを偽造予約。
宿泊代の40%(160B)を騙し取ろうという手口だった。
同ホテルには一室あたり一泊400Bの部屋が10室しかないのだが、旅行業者と結託してなんと3500室もあるかのように見せかけて予約。
これに対する政府の拠出額はおよそ7億740万Bにもおよぶ。
政府の担当部署はさすがにとんでもない数字に気づきこの件は未遂に終わったが、似たような手口でまんまと補助金を騙し取った輩が1000人以上はいる。
その被害額はおよそ20億Bにもなるという。
差し伸べられた手に泥を塗るようにしてお金を搾取する。
これ以上、便乗詐欺が出てこない事を願うばかりだ。