亡き父親のために徳を積もうと市場でお金をばら撒く。
まるで鼠小僧のようなことをした男とは…
「鼠小僧」と言えば、日本の江戸時代後期の有名な盗賊。
大名屋敷だけを狙って盗みに入り、貧しい人たちにそれを施したことから、義賊(権力者からは犯罪者とされながらも大衆からは支持される人)の一人として伝説化された人物だ。
そんな鼠小僧まがいのことをして、タイのメディアを騒がせている男がいる。ブリーラム県で5月7日、ウッティサック氏(39歳)は母親のATMカードを家から持ち出し、10万Bを無断で引き出した。
そして、そのお金を市場やコンビニなどでばら撒いたという。
当然だがそこに居合わせた人たちは、ばら撒かれる紙幣を拾い集めた。
誰も事情を知らないわけだから、ついつい拾ってしまうのが人の情け。
まるで、伝説の鼠小僧さながらの行為である。
しかし、母親はたまったものではない。
息子を問い詰めたところ「死んだ父に徳を積み上げるためにお金をばらまいた」と告白。
以前にも彼は、母親のゴールドを勝手に売って、そのお金をばらまいたことがあるというから困ったものだ。
母親は、息子を起訴して欲しくはないが、ばらまいたお金は返して欲しいと警察に相談。
警察は、そのお金を拾い着服するのは犯罪なので返すように協力して欲しいとアナウンスしたが、返ってきたのはたったの2,900Bだけだったという。
後日、息子は母親へのお詫びの意味で、ラッキーナンバーの宝くじをプレゼントした。
「お金をばら撒くと宝くじが当たる」というバラモン教の迷信を信じている母親は、怒りが全て吹っ飛び、当選金1,200万Bが当たることを夢見ているという。
ただ、彼女に宝くじが当たったというニュースは未だ聞かない。