タイの東北部で生まれたサムチャのリズム。
そのビートが火種となった、ちょっと危ないトレンドとは…
「チャチャチャ」というリズムをご存知だろうか。
1950年代に流行したラテン音楽のリズムの一つで、その原型はキューバのダンス音楽。
そんなチャチャチャがベースとなったリズムはタイにもあり、それは「サムチャ」と呼ばれ、タイ東北部の民衆音楽を起源に持つ。サムチャはこの地方独特の力強い拍子と、チャチャチャならではのラテンビートが融合した、タイの老若男女が好きな独特のリズムだ。
最近、このサムチャにまつわる“ちょっと危ないトレンド”が話題となっている。
東北部の田舎道で、子ども達が走ってくる車に「サムチャを頼む」のハンドサインを出すと、車がサムチャのリズムでクラクションを鳴らすというもの。これだけ聞くと問題ないような感じだが、車が往来する道路に身を乗り出すようにしてハンドサインを出すのは危険。実際に子どもが車に轢かれかけた事件もあって社会問題化している。
このような中、ルクトゥン(タイの大衆歌謡)の大手レコード会社が新曲を公開。
タイトルは「サムチャをください」。歌詞は「サムチャをください♪鳴らしてくれたら嬉しいな♪」。
さらに宣伝用ミュージックビデオは、子どもが学校をサボって道路沿いでサムチャのハンドサインを出しまくるという、世相を逆なでするような徹底ぶりだ。YouTubeでのビデオの再生回数はすでに1600万回を超え評判も上々。
しかし、「こんなに危険な行為を後押しするの?」、「社会的責任という言葉を知らないか?」という批判コメントも多々。陽気なリズムに乗った、ちょっと危ないトレドだが、果たしてどんな展開となるのだろうか。