天皇杯・ルヴァンカップ

今シーズンも佳境を迎え、10月16日に天皇杯、10月22日にＪリーグYBCルヴァンカップと、2週連続でカップ戦の決勝が行われた。

天皇杯はＪ２の甲府が優勝した。Ｊ１の広島との決勝戦は、先制しながらも終了間際に追いつかれ、延長戦ではPKのピンチを招きながらも守護神の河田晃兵が好セーブで阻止すると、PK戦でも河田が活躍し、Ｊ１チームを撃破する“ジャイアントキリング”を実現した。
 
天皇杯はＪリーグのチームのみならず、社会人チームや大学生チームも参加するオープントーナメントで、今年で102回目を迎えた。Ｊリーグが誕生した1993年以降は常にＪ１チームが優勝してきたが、2011年大会では、決勝がFC東京と京都のＪ２対決となり、これを制したFC東京が初めてＪ２のチームとして優勝した。しかし決勝でＪ１チームに勝利して優勝したのは、今回の甲府が初めてのケースとなった。

 
記念すべき30回目の開催となったルヴァンカップの決勝は、昨年の大会の決勝で敗れたＣ大阪と、天皇杯で悔し涙を呑んだ広島の“リベンジ対決”となった。
 
広島にとっては、もうひとつの想いがあった。試合前日に、かつて広島に所属した工藤壮人選手（テゲバジャーロ宮崎）が、水頭症のため逝去する訃報が伝えられていたからだ。
 
試合は後半立ち上がりにＣ大阪が先制するも、その後にＣ大阪が退場者を出したことで数的優位を手にした広島が反撃。そして終了間際の90＋6分にPKで同点に追いつくと、その5分後にはCKから逆転ゴールを奪取。アディショナルタイムの2ゴールで圧巻の逆転劇を演じた広島が、三度目のファイナル進出にして悲願の初優勝を成し遂げた。天国の工藤さんに届ける優勝にもなった。

（文・原山裕平）

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