深夜のバンナートラートを泣きながら歩く一人の少年。
その子のバッグの中には固い絆で結ばれた一匹の猫が…
年の瀬も迫りつつある12月18日の深夜、警官がバンコク東部の幹線道路バンナートラートを巡回していると、歩道に座り込んで泣いている少年を発見。
夜更けに道端で佇んでいる子どもの姿は尋常ではない。
警官が事情を聴くため少年に近寄ってみると、その体には叩かれたような痣がいくつかあり、傍らに置かれたバッグの中には一匹の猫がいた。
話を聞くと、その子はまだ9歳。
両親は夫婦喧嘩が絶えず、八つ当たりをするように自分を叩いたり殴ったりするため、あまりにも辛くなって家出を企てたのだという。
持ち物は猫が入ったバッグ一つだけ。
とにかく猫のことが気がかりで、服などの荷物は何も入れずに猫だけを連れ出した。
小さな体で猫を最優先したということだが、猫は丸々としていてかなり重そう。
少年にとってはかなりしんどいはずだ。
大きな猫の入ったバッグを抱えて家を出たのはいいが、きっと疲労と絶望感から道端に座り込んでしまったのだろう。
警官はこんなコメントを残している。
「猫はとても人懐っこくふくよかで、彼がいかに愛情を注いできたのかがわかる」。
少年が向かっていた先は田舎の祖母の家なのだが、そこへどうやったら行き着けるのかの算段もないことから、警察は少年と猫を保護した。
そして関係各所の協力もあって、少年は祖母の保護下に置かれることになり一件落着。
彼が猫だけをバッグに入れていたわけは、この言葉に尽きる。
「だって、生まれた時からいつだって一緒。
どんな時でも猫が親友なの」。
祖母の元で大好きな猫と共に、どうか幸せな年にしてほしい。