論文を書くのが仕事とも言える大学教授や学者。
そんな学識者の間で横行する「論文販売サイト」とは…
論文といえば、一般の人が身近に思い浮かべるのはきっと卒業論文。書くのに苦労した人も多いのではないだろうか。ところが、最近では論文を販売するサイトがあり、これを利用して「卒論」を仕上げてしまう大学生もいると聞くが、なんとも憂わしい話である。
そんな論文をめぐり、タイの学術界に激震が走るような出来事があった。ことの発端は、ある研究者のSNSへの投稿。
「タイの研究者の実態を暴露」というタイトルの元、そこにはなんと研究論文を販売するサイトの存在が示唆されていた。
大学の卒論を購入するのも如何なものかなと思うが、こちらは論文を書くのが仕事とも言える大学教授や学者がお手軽に研究論文を入手できるサイト。そこには様々な論文の概要が並び、気に入ったものがあれば数万Bで購入して、その研究論文の著者や共同研究者として氏名が掲載される。これでは、まるで研究論文のオンラインショッピング。
購入した研究論文は自分では書いていない偽物なのだが、それを使って大学の研究費助成金を申請したり、学位を得るために使ったりと利用方法は人それぞれだという。さらに、チェンマイ大学の有名教授がこのサイトの“商品”を購入していたという事実も発覚。
2019年に発表した論文が1編だけだったのに、2020年には30編、2021年には90編もの論文を発表している。取り上げた研究分野も農学、仮想通貨、インドネシアの宗教学、ロシアの教育学と取り留めがない。数も内容も明らかに欺瞞に満ちていて、今までバレなかったのが不思議なくらいだ。
この件を調査中の当局は「学者の倫理違反であり、懲役となる可能性もある」と警告している。