大学の医学部へ進学する学費がなくて募金を募集。
タイの「タンブン精神」につけ込んだ嘘つき苦学生とは…
タイの社会には「タンブン」というタイ仏教の概念が深く根付いていて、寺院でお布施をするのもそうだが、電車の中で席を譲るのもタンブンの一つ。「現世で徳を積めば来世で幸せになれる」という“信心”が、多くのタイ人をそんな行動に駆り立てるのだろう。
ところが、そのような「タンブン精神」に漬け込むようなことをした学生の話が話題となっている。思わず「またかい!」と嘆きたくなってしまうが、それは南部パッタルン県に住む高校3年生がFacebookへ投稿したことが事の始まり。
投稿には「母親と二人暮らしで生活が苦しく、1日の収入は400Bだけ。大学の医学部へ進みたいのだが学費を払うお金がないので助けてほしい」というようなことが書かれていた。すると、それを見たネット民のタンブン精神に火が灯り、個人ばかりか援助団体なども寄付を申し出て、それなりのお金が集まったのだという。
しかし後日、「以前、僕は物乞いをしていたが、今は医者を目指している」というコメントとともに、自撮り写真を投稿。そこには、なんと最新型のApple WatchとiPhoneを身につけている姿があり、ご丁寧にその購入価格まで明記していた。
これが嫌疑をもたらすきっかけとなり、ニュース記者が身辺を調べたところ、彼は貧困であえいでいるどころか車も所有し、幸せな暮らしぶりだったという。それを知ったネット民の間で非難轟々となったのは周知のごとくである。
彼の母親も「あなたが撒いた種なのだから自分で解決しなさい」と、けんもほろろ。そして、タンブン精神につけ込んだ嘘つき苦学生は、ネット上からすっかり姿を見せなくなったようだ。