高度1万メートルのドクターコール

「機内にお医者様はいらっしゃいますか?」
大阪発バンコク行きの機内で起きたハプニングとは…

「機内にお医者様はいらっしゃいますか?」。

映画やドラマでお馴染みのドクターコール。これは、飛行中の旅客機の中で急病人が発生した場合、このアナウンスが響き、医師が名乗り出るということ。

2月15日、大阪発バンコク行きのエアアジアの機内で実際にドクターコールに及ぶ事態が起きた。

乗客の一人がパニック障害を発症。キャビンアテンダント(CA)が手当を試みたのだが、症状は重くなる一方で、止む無くドクターコールを機内放送したという。すると、同機に搭乗していた若いタイ人の医師が名乗り出たのだ。また、なんとタイ人の看護師も乗り合わせていて、二人がかりでの応急処置が始まる。

医師が心拍数を計り患者の家族に日頃の病状などを聞く間に、看護師が機内に用意されていた医療器具と医薬品を確認。二人は相談の上で適切な薬を決めると、看護師が注射の準備をしている際に、医師は投与する薬の効能などを家族に説明。そして医師が注射をして応急処置は完了。

すごいのはこの一部始終がわずか数分間で行われ、患者は無事に緊急事態から脱することができた。旅客機は約1万メートルの高度で安定飛行するというが、調整されているとはいえ気圧も酸素濃度も湿度も地上よりはかなり低い。

そんな環境下では思わぬ体調不良や急病に見舞われる人も少なくなく、大手エアラインの2019年に残る記録では機内で医師への協力要請を必要としたケースが191件もあったというから驚きだ。

高度1万メートルのドクターコールに応えた二人は、タイ政府から医療従事者の鏡だと賞賛されたという。

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