タイ映画業界に激震

著名監督、俳優、作家などが選考基準を猛烈批判。
彼らが権威ある映画賞をボイコットした理由とは…

近年タイ映画の成長は著しく、中にはカンヌ国際映画祭で受賞するような秀逸な作品も誕生した。ところが今、映画業界に激震が走っている。

タイのアカデミー賞と称される「スパンナホン賞」は今年で31回目となる映画賞。実は、著名監督をはじめ俳優や作家などの映画関係者が、この権威ある賞へのノミネートをボイコットするという騒ぎが起きている。

その理由は、タイ映画協会連盟が選考基準を改定したことだ。新たな基準とは、①2022年中に映画館で7日間以上上映された作品、②2022年中にタイの5都県(バンコク、チョンブリー、チェンマイ、ナコーンラーチャーシーマ、ナコーンシータマラート)の映画館で上映された作品、③2022年中の映画館の観客動員数が5万人以上というもの。

これはつまり、同連盟が優れたインディーズ映画(大手以外の独立系企業の作品や自主製作作品)を事実上、受賞作品から締め出そうとした動きだという。このような大手だけを優遇するような改定に、映画関係者が激怒して反旗を翻したというわけだ。

ボイコットした関係者の一例を挙げると、昨年のヒット作「Faces of Anne」のコンデート監督、「Love Destiny:The Movie」のアディソン監督、「4 Kings」の主演男優イットナコン氏と錚々たる顔ぶれ。これでは賞そのものの権威も丸つぶれである。

このボイコット騒ぎに慌てた同協会は改定基準の②と③を取り下げた。しかしそれ以前に、厳しい表現規制や理不尽な収益配分など、タイ映画業界を取り巻く環境にはまだまだ課題が山積みのようだ。

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