徳を積む人、お金を積む人
ユニークな講話で有名な元僧侶が住職と共謀。
東北部の有名寺院をめぐる横領事件とは…
東北部の有名寺院をめぐる横領事件とは…
タイ仏教(小乗仏教)には厳しい戒律が存在することで知られている。盗みをしてはならない、殺生をしてはならない、女性に触れてはならない、嘘をついてはならない、お酒を飲んではならない、これら5つが戒律なのだが、稀に戒律を破ってしまう僧侶がいるのも確かだ。
このところタイのメディアで話題となっているのが、東北部ナコーンラーチャーシーマーの有名寺院「ワットパー・タンマキーリー」で起きた横領事件。容疑をかけられたのは、この寺院の住職を務めていた元・人気僧侶の通称コムとその妹、そして同寺院の現住職の3人。
タイ中央捜査局の調べによると、3人が共謀して寺院に集まったお布施など1億8,000万Bを横領したという。横領の手口は、コム容疑者が、寺院の現金を動かせる立場にあった住職に、妹へお金を渡すように指示。そのお金を受け取った妹がコム容疑者の銀行口座に振り込むという流れだ。口座にはなんと1億3,000万Bが入金されており、妹の家には未送金の現金がまだ5,000万B以上もあったとのこと。
そして、この横領事件にはさらに続きがあった。同寺院5人の僧侶の宿坊にも現金や純金が隠されていたことが発覚。それらは調査が始まった時にはすで寺院から運び出されており、当局が山中で発見した現金や純金は1億B以上に相当するというからすごい。横領した合計金額は3億B以上にもおよんでいる。
事件に絡んだ8人は逮捕され、僧侶たちは当然だが還俗された。「徳を積むのは信者で、お金を積むのは僧侶の役目」。そんな皮肉がネット上でも飛び交っている。