白亜の寺院として知られるチェンライのワット・ロンクン。
その駐車場の壁に描かれたグラフィティとは…

チェンライ屈指の観光スポットである「ワット・ロンクン」。ここは同地出身のアーティストであるチャルムチャイ・コーシピパット氏が、仏教や神話をモチーフにデザインした白亜の寺院だ。別名「ホワイト・テンプル」とも呼ばれる美しい建築は世界的にも名高い。

そんなワット・ロンクンに一大事が起きた。

ある日の朝、チャルムチャイ氏が目にしたのは、なんと寺院に併設された駐車場の壁に描かれたグラフィティ。それは俗に言うストリート・アートで、何者かが夜中に侵入して一晩で描き上げたのだろう。もちろんチャルムチャイ氏が許可などするはずがない。寺院そのものではないにせよ、白がシンボルのランドマークの施設に“色”を塗ってしまったのである。

ところが、それを見たチャルムチャイ氏の反応が予想外だった。激怒するどころか大感激。グラフィティの前でスマホを取り出して自撮りしながら、「誰がやったのかはわからないが、完成するまでしっかり描いてくれ。闇夜に隠れる必要などないから昼間に堂々と来てほしい。私は全てを見とどけたい」と語る動画をSNSへ投稿した。しかも、壁の周りの雑草を刈り、絵を描きやすいように専用のキャンバスまで用意。

その投稿を見て、そそくさと寺院にやってきたのが“犯人”である3人の若いアーティスト。いけないことをしでかした自覚があるせいか困惑気味だったという。でも、チャルムチャイ氏は「新世代のアーティストの力になりたい」と、彼らに画材代として1万Bを手渡した。

タイにストリート・アートの新しい時代が到来することを期待したい。

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