気が合う人という言い方があるが、バンコクで居酒屋「寅次郎」を経営している中村さんは自分にとってまさしくそういう人なのである。人の心とは不思議なもので、シンパシーを感じると言うのだろうか、もっと言えば“尊敬”のような心持ちを抱いてしまう人が中村蒸一さんだ。
中村さんがバンコクで「寅次郎」を創業したのは1997年。すでに24年も経つが、順風満帆でここまで来たわけではない。店を始めた当初は当時の日本食ブームや日系企業の進出ラッシュといった波に乗り、事業は順調に伸びていった。ところがそれからすぐに、タイが震源地となったアジア通貨危機が中村さんの事業に影を落とした。その荒波をなんとか乗り越えると、今度は2010年の“暗黒の土曜日”として知られる、赤シャツと黄シャツのデモのとばっちりを受けてしまったのだ。当時、セントラルワールドにあった「寅次郎」は、デモ隊が地上階に火を放ったことで延焼して営業再開が不可能に。
さらに翌年の2011年には、あの大洪水がバンコク経済を襲った。それでも中村さんはめげることもなく(本当は相当めげたと思う)、持ち前のバイタリティで続けざまにやってくる難関を突破してきた。
そんな中村さんの話を聞いていて意外だったのは、ご本人が飲食店経営とはまったく無縁の人だったということ。教育学部に在籍していて、学生時代には小泉八雲の研究に打ち込み、目指したのはジャーナリストか教職だったという。だからなのか、本や歴史の話などをしているとその視点が専門的というかマニアックで本当に話題が尽きない。じつは店にある中村さんの事務所を覗かせていただいたことがあるのだが、そこは“書斎”といったほうがふさわしいくらいに本があふれていた。
そして大学を卒業してすぐ、中村さんはタイの教育機関支援ボランティアとしてノーンカイへ派遣されるわけだが、これがタイとの最初の出会いだった。ところがその滞在の中で大きなジレンマにぶち当たった。「助けに来たはずの自分が、いつの間にか助けられてばかりになっていたんです。自らが経済的に独立もしていないのに人助けをするというのは、少し違うのではないかなと感じ始めました」。タイの人々の優しさと、そこに生まれた絆に甘んじていた自分に違和感を感じたのだ。そこで中村さんは一念発起してバンコクでアルバイトを開始。そこから新しい縁が生まれて「寅次郎」を興すことに至ったというわけだ。
今、中村さんはチェンマイの山岳地帯にある、リス族のコーヒー豆農場で栽培されたコーヒーを、「ギャルツェンカフェ」というブランドで日本やタイで流通させることに尽力中だ。中村さんのボランティア魂は形を変えて綿々と続いている。
さらにこんな構想もあると話してくれた。「店に“歌謡酒場”のようなスペースを設けようと思っているんです。音楽を好きな人が気ままに集まって演奏や歌を楽しむ場です。店と音楽が縁となって、お客様の間に新しい絆が生まれたら最高じゃないですか」。「寅次郎」は人と人を結ぶ糸のような存在。そして、その糸を紡ぐのが中村さんなのかもしれない。
「情熱酒場 寅次郎 スクンビット39店」詳細情報
店名 | 情熱酒場 寅次郎 スクンビット39店 |
---|---|
ジャンル | 居酒屋 |
エリア | プロンポン |
その他情報 | 宴会で利用したいお店 |
駅 | 【BTS】プロンポン |
電話番号 | |
営業時間 | 16:30〜24:00(L.O.23:00) |
定休日 | なし |
駐車場 | あり |
VAT | 7% |
サービス料 | 10% |
クレジットカード | VISA , MASTER , JCB |
所在地 |
1 Soi Promsri 1, Sukhumvit 39 Rd. |
「情熱酒場 寅次郎 スクンビット26 日本街店」詳細情報
店名 | 情熱酒場 寅次郎 スクンビット26 日本街店 |
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ジャンル | 居酒屋 |
エリア | プロンポン |
その他情報 | 宴会で利用したいお店 |
駅 | 【BTS】プロンポン |
電話番号 | |
営業時間 | 16:30〜24:00(L.O.23:00) |
定休日 | なし |
駐車場 | あり |
VAT | 7% |
サービス料 | 10% |
クレジットカード | VISA , MASTER , JCB |
所在地 |
1st Fl., Nihonmachi Mall, Sukhumvit Soi 26 |