タイでは物乞いが常に社会問題となっていて、10年ほど前からは本格的な取り締まりも行われているが、一掃には程遠いというのが実情だ。そんな世情を受けて、タイ人のとある動画クリエイターが、中華街のヤワラートで物乞いに扮して実証実験を敢行したことが話題になっている。
彼はみすぼらしい服をまとって道端に座り、お金を入れてもらうコップを手に持って実験をスタート。そして物乞いを始めて1時間後、コップの中のお金を数えるとなんと325Bも入っていた。単純計算では1日6時間物乞いをすれば1,800B以上。タイ人の1日の最低賃金(バンコクは約350B)はおろか、普通のサラリーマンよりもはるかに高いお金を稼げている。
この実証実験と称する行為に対してネット民の反応はどうかというと、人の善意を欺くものだと批判的な声もあるが、何よりも物乞いの実態を露見させることで「ためになる動画だ」と賞賛する意見が多かったようだ。
ちょうど同じ時期に中華系の物乞い詐欺集団が、バンコクの外国人観光客が多く集まるエリアで次々と摘発されているが、こちらは「プロ」。11月22日時点で6人が逮捕されていて、チェンマイなどでも同じような物乞い詐欺が確認されている。ちなみに一人が集めるお金は1日約1万Bにもなるという。
物乞いからは様々な問題が浮かび上がっており、背後には人身売買シンジケートの影も見え隠れしている。警察は「物乞いにお金や物を与えてはならない」と警鐘を鳴らす。怪しい物乞いを見かけたら、社会開発・人間安全保障省まで連絡してほしいとも訴えている。