昨今、原油価格が世界的に高騰し、タイでもその影響を大きく受け、数年前に比べるとガソリン代は約2倍近く値上がっている。車社会のタイでガソリンは生活に欠かせないものだが、そのガソリン代によって国民の生活が苦しめられているというのもまた悲しい現実だ。
そんなガソリン代にまつわる出来事が話題になっている。
舞台は東北部ナコーンシータマラート県のとある学校。この学校で8年以上教師として働くピヤモン先生は、ある事情により他校へ移籍することになった。その理由というのが「ガソリン代」。彼女の実家は同県にあるものの、およそ200km離れた場所にあり、毎週末の帰省でかかるガソリン代を自分の給料だけで賄うのにも限界があるという。また、年老いた両親の近くにいたいという思いもあり、学校を移籍することを決断したのだった。
移籍する前日、生徒たちにこの話を伝えたところ、急遽送別会を開いてくれることに。学校の生徒と最後の時間を過ごしているとき、自分が担当するクラスの生徒らが、先生にお金の入った袋を渡したのだ。彼らは「(先生は)ガソリン代が足りないから学校を離れることになる」と知り、1人5〜20Bほどのお金を出し合い、どうにか先生が残ってくれるようにお金を集めたのだそう。
生徒たちのこの行動にピヤモン先生は感動し、終始号泣しっぱなしだった。結局、先生は学校を移籍することになったが、「この子たちのこの無邪気さは忘れることはない」と話している。たかがガソリン代、されどガソリン代、先生と生徒とって忘れることのない出来事になっただろう。