海で山でと遭難事故はいろいろな場所で起こるものだが、タイでは、湖での遭難事故が今話題となっている。湖での遭難といえば、古くは湖上を吹き荒れる突風が原因の琵琶湖遭難事故が有名。しかし、今回の事故の原因は強風でも雨でもなかった。
その遭難事故は、北部ラムパーン県の人気観光地ギウロム・ダム湖で2月11日に起きる。遭難したのは湖上に浮かぶ観光用の宿泊筏。風も吹かず荒天でもない静かな湖の上で一体何が起きたのかというと、その原因はなんと水生植物だった。
子どもや高齢者を含む約200人が4台の筏に宿泊。穏やかな湖の上に浮かびながらさぞかし快適な夜を過ごしたことだろう。ところが一夜明けてみると大変な事態となっていた。すべての筏がウキクサなど大量の水生植物に囲まれ、全く身動きが取れなくなっている。船着き場までは1km近くあるのだが、もちろん船も近寄れない。
こんな事態を予測していないから水も食料も余分なものは積んでなく、実際に脱水症状などで衰弱する人も多数出たというから、これはもう遭難レベルだと言えるだろう。
そこで湖を管理する灌漑局などは、職員をフル動員して懸命の水生植物除去作業を行った。そして数時間後になんとか全員を救助。灌漑局によると今年は例年に類を見ないほど水生植物が大量発生しているという。群生している面積は200万㎡で、サッカーフィールドなら軽く300面分の広さ。
同局もその除去に力を入れているのだが、予算も人員も不足しているためなかなか対応が追いついていないのが実情だ。