2020年の雨季が終わる頃、コロナ禍でタイの多くのゴルフ場も大半が休業していたのだが、それを逆手にとるようにしてコースが空いているうちにゴルフ場紹介のムービーを制作しよう!という企画が舞い込んだ。だったらプロに協力してもらって、ラウンドしながらカメラを回しちゃえ!と提案したらそれがすんなり通ったことがある。
そんな成り行きから出会ったのが、プロゴルファーの中村映禅さんだ。映禅さんは、バンコクで活躍するゴルフのティーチングプロであり、現在はTSPGA(タイシニアプロゴルフ協会)のトーナメントプロでもある。そんな映禅さんは、僕の思いつき企画を快く受け入れてくれて、一緒に「ああでもない、こうでもない」と考えながら撮影に付き合ってくださった。そして、映禅さんにはもう一つの肩書きがある。それは僧侶、つまりお坊さんなのである。ご実家は浄土宗の由緒あるお寺で、長男であるからして普通の流れだったらその後継。ところが人生なんて、やはり何が起きるかわからないのである。
映禅さんとタイの最初の出会いは25年前のこと。僧侶の研修旅行でタイを訪れたのだが、それまでは特にこの国に思い入れがあったわけではない。ところが来てみると未曾有のゴルフ大国。高校時代からゴルフをやっていた映禅さんの心は大きく揺さぶられた。以来度々タイを訪れていたのだが、大きな転機が35歳の時に訪れる。僧侶としての修行を終え、タイでQT(クォリファイングトーナメントの略で予選会のこと)を受ける機会があってそれに見事パスした。こうなるとますますゴルフをあきらめることができなくなり、ついにご両親に「少しの間、仏門を休ませて欲しい」と直談判。それが許されて、タイを拠点にしたアジアンツアー参戦などと映禅さんの夢は広がっていった。
そうしてプレーヤーとして走り始めようとしていた時、思いがけないことが起きる。それは立松里奈というスーパージュニアとの出会いだ。映禅さんはその子を一目見て「世界一のジュニアに育ててみたくなったんです。日本にいる時から“中村はコーチの方が向いているよ”とよく言われていました。それがすごく嫌だったんですが、やっぱりコーチ魂に火がついたというわけです」。とおっしゃる映禅さんだが、本当に彼女を世界一のジュニアにしたからすごい。映禅さんと彼女と3人でショートゲームをしたことがあって、その時は僕が知らなかった鬼コーチのような映禅さんを見た経験がある。
そして2023年、さらに大きな転機が訪れた。「TSPGAとタイアップして、日本人がタイでシニアプロテストを受けるためのオーガナイザーになれたんです。僕自身も50歳と節目を迎える年でしたから、それもきっと何かの縁。必死に動きました。その結果、“ZEN SENIOR CHAMPIONSHIP 2023”を初開催することができたんです。僕もシニアプロとしてデビューして、最初の大会では2位に入れたので、まだまだいけるな!と手応えのようなものもつかめました」。
2024年2月には3回目となるTSPGAのシニアプロテストが開催され、テストの後には日本からも錚々たるシニアプロが参加するトーナメントも行われる。僧侶とプロゴルファーという“二足のわらじ”を履く映禅さんは、最後にもう一つの夢を語ってくれた。「いつかこのタイのどこかに日本式のお寺を建てるのが長年の夢。それは人生とゴルフとタイを繋ぐ集大成のようなもの、期待していてください」。
「Zen Golfer’s Factory」詳細情報
名前 | Zen Golfer’s Factory |
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ジャンル | ゴルフ , 趣味 |
エリア | エカマイ |
駅 | 【BTS】エカマイ |
Eメール | |
電話番号 |
085-238-7736(日本人直通) |
営業時間 | 10:00~22:00 |
定休日 | タイの祝日など |
駐車場 | あり |
WEBサイト | |
所在地 |
スタジオM Fl., Gateway Ekamai, 982/22 Sukhumvit Rd., Prakanong, Klongtoey, Bangkok 10110 |
所在地 |
アカデミー18 Moo. 7 Liabklongsong Rd., Samwatawantok, Klongsamwa, Bangkok 10510 |