多くのタイ国民にとって人気のデスティネーションである「海」。
しかし、地方で暮らす低所得層の人たちにとって、海はまだまだ縁遠い場所であるとも言える。
そんな海を目指した一人の男の行動が、今話題だ。
その人はコーソンさんという名で、東北部のウボンラーチャターニーで廃品回収を生業としている70歳。
彼がある日、テレビを観ていると画面には東部トラートのチャーン島が映っていた。
すると彼は無性に海に行きたくなってくる。
「死ぬ前に一度は海を見てみたい!」という願望がふつふつと湧いてきたのだ。
そしてコーソンさんは3月3日、ウボンラーチャターニーを出発。
チャーン島へ向かうための“足”はバイクを改造した三輪車で、所持金は数百バーツのみ。
こうして着の身着のままの旅は始まった。
ガソリン代や食費などは道路に落ちている廃品を回収したものを売ることで捻出し、寝泊りはガソリンスタンドや寺院で凌ぐ。
そして道程で様々な人たちと会ううちに、コーソンさんはいつの間にか「死ぬ前に海を見たい、旅するおじいさん」として有名人に。
メディアにも取り上げられ、各方面からエールが送られるようになってきた。
出発から約1週間、600kmを走破してコーソンさんはついにトラートに到着。
するとトラートの行政機関が彼を出迎えて歓迎会を開き、チャーン島への移動や宿泊まで手配。
コーソンさんはすっかり“観光アンバサダー”となっていた。
取材のインタビューでチャーン島の海の印象を聞かれたコーソンさんは、海水を口に含んでからこう答える。
「海の水は本当にしょっぱかった」。
あっぱれ、70歳の夢追い人!