5年前の忌まわしい出来事を乗り越えて、
一人の女性が国境の国立公園を再訪した理由とは…

ラオス国境に広がるパー・テーム国立公園。ここはタイのグランドキャニオンと称されるように、雄大な絶景が広がる。そびえ立つ断崖絶壁には、先史時代に描かれた壁画が残っていることでも有名。

今、この地を再訪した女性のことが話題となっている。

話の発端は2019年6月のこと。旅行で同公園を訪れた中国人夫婦の妻が高さ34mの崖から落ちてしまった。幸いにも崖に茂っていた樹木が緩衝材となり一命をとりとめたが、全身骨折の上に妊娠中の子どもを失ってしまう。女性を発見した公園職員の手厚い救助作業も、その命をつなぐことに大きく貢献した。

ところがこれは事故ではなく、夫が企てた保険金目当ての殺人行為。つまり、夫が妻を崖から突き落としたのだった。妻が死んでいないことを知った夫は妻の入院先を訪れ、「本当のことを話したら殺す」と脅す。そのため、妻は警察の事情聴取にも初めは「目眩を起こして崖から落ちた」と話していた。

しかし、事情を察した看護婦が機転を利かせて事情徴収の場を再度設定。結果、夫は殺人未遂の容疑で33年の懲役となり収監されている。この事件は世界中のメディアが取り上げ、中国では映画まで製作されたという。

そんな彼女が長い療養期間を経て、この4月20日にパー・テーム国立公園を再訪。そして“あの崖”の上に立った。生死の境をさまよっていた事件当時はお礼を言えなかった公園職員たちにも再開して、お互いに熱いハグを交わしている。

5年前の忌まわしい出来事を乗り越えて実現した再開。そこには喜びに満ちた笑顔も咲いていた。

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