今年3月19日、タイの水上警察は計33万ℓの石油を密輸した疑いがあるとして、船3隻と船員15名を重要証拠品として拿捕。捜査中、船は警察が管理する中部チョンブリー県サタヒッブの桟橋に停泊していた。
だが、6月11日に証拠品として取り押さえていたはずの船3隻と船員が全て一夜にして行方不明となったことがタイのニュースで報道され世間を賑わせている。
以前から船のオーナーは南部パッターニー県の凶悪犯罪者だと判明していたが、黒幕の逮捕には至らなかった上、証拠品を逃すというお粗末な結果となった。これには市民からは業務における怠慢を指摘する批判の声が上がった。さらには、犯人たちの逃亡に協力した警察職員がいる疑いもあがり、波紋が広がっている。
事件の展開が見えたのは6月18日、警察中央捜査部(CIB)が目撃情報をもとに、船がマレーシアに向かっているところを特定。海上で船3隻と8人の船員(他7人は逃亡中)の再逮捕に成功した。しかし、船内にあった大量の石油がほとんど無くなっており、証拠隠滅を測ったことが判明。犯行を未然に防止することはできない結果となった。
だが、警察は密輸した石油の市場価格は推定400万Bと犯行のリスクに見合わないことから、麻薬取引や人身売買など「本当の理由」があるのではないかと推測している。
市民の警察に対する不信感が露呈された今回の事件。果たして真相は明らかになるのか。事件解明を願うばかりだ…。