日本は世界でも有数のダム保有国として知られる。
タイはどうかといえば、数こそ多くはないが、雨季にたくさん降る雨の水をコントロールする上で重要なのがダムだ。
今、そんなタイのダムにまつわる疑惑が注目されている。
ダムという設備はそこに貯められる水の量が決まっており、貯水量が満水に近くなると決壊などを防ぐことで放水。
多くの場合は、上流からダムに流入してくるのとほぼ同じ量の水を下流に流していくのだが、これが緊急放流というものだ。
その緊急放流が8月4日から5日にかけて、中部ナコーンナーヨックのクンダーンプラーカーンチョン・ダムで行われている。
ところがこの緊急放流の際にダムの下流域に対する警告が行われていなかったのだ。
そのため下流域では川の水位が急激に上昇したことで、住民や観光客が被害に見舞われることに。
ある住民によれば、深夜0時頃から家の近くの川が増水したという。
数分の間に水位が50cmも上がって大慌てだったとのこと。
リゾートホテルで寝ていた客は体が濡れているのに気づいて目をさますと、ベッドが水没していたというから恐ろしい。
幸いに人的被害はなかったものの、数十軒の家屋や数十台の車が水没したことで、特に観光業には甚大な影響を及ぼしているそうだ。
この事態を受けた当局の言い分が、これまた酷い。
「通常通りの放水なので特に放水警告はしなかった」
「豪雨による鉄砲水の被害だ」
などと、ダムからは水だけではなく言い訳まで溢れてくる始末なのである。