AREA
バンコクの不動産価格を査定する

 


バンコクの不動産価格を査定するAREAの会長を務めるソポン氏。国内外でも注目されるバンコクの地価は一体どうなっているのだろうか? さらに延伸されるBTSやMRTの鉄道網、チャオプラヤー川沿いほか話題を集めるエリアや未来の街づくり、今後も期待する日本人投資家について、専門家の見地から語ってもらった。

 

―AREAとはどのような会社・組織でしょうか
Agency for Real Estate Affairs(以下AREA)は、不動産に関する研究データを作成し、不動産価格を査定しています。タイで最も広範囲をカバーしている初の不動産情報機関で、1994年から運営。現在ASEAN諸国をはじめ、アフリカ、南アメリカでも事業展開をしています。

 

 ―2016年度の不動産についてどう思いますか
比較的安定した状態ですが、経済状態がそれほどよくなく、経済成長率も2~3%のため、今年は鈍化するでしょう。一部の住宅価格は下落し、戸数もやや減ると思われます。
 ―BTS、MRT駅に近いエリアは人気が集中しているようですが
大量交通輸送機関に近い土地を所有すれば、当然地価が上昇する傾向があります。22年前の94年と比較した場合、シーロムの土地価格は当時45万バーツ(4平米)でしたが、BTSができてからは15年は160万バーツまで上昇しています。同年のサイアムの地価は、40万バーツ(4平米)でしたが、15年は190万バーツ。ヤワラート地区のように、94年の不動産価格は最高で70万バーツ(4平米)でしたが、BTSが通っていないため、15年で140万バーツとあまり上昇していません。将来的にヤワラート付近に駅ができれば、価格は上昇するでしょうね。

 

 ―建設・開発が相次いでいるチャオプラヤー川周辺の地域についてどう思いますか
チャオプラヤー川に隣接した地域は景観がよいため多くの人が好む地区といえます。しかし、地域は限られています。例えば、ラマ3世通りやクローントゥーイのあたりの土地は、森林などで囲まれている環境のため、、価値が高く、景観も優れています。将来、輸送機関ができればさらに高騰するでしょう。しかし、王宮近辺は高層ビルを建設することができません。そのあたりは高層ビルの建設が禁止されているため、王宮近辺の地価は低いのです。

 ―AEC発足の影響はあるでしょうか
よい方向に進むでしょう。ミャンマーでの不動産調査に同行したとき、ミャンマー人の投資家の3分の1はバンコクの土地購入に関心を持っていました。また、ラオス商工会議所のメンバーに調査すると、多くの人がバンコクやパタヤ、イサーン地方に家を購入したいと考えているようです。タイには住宅建設プロジェクトが1000以上ありますが、ホーチミンは約200、プノンペンは約100、ジャカルタは約400、マニラは約300で、このことからわかることは、タイが他の国々よりも活気づいているということです。もし、政治問題がなければ、より多くの投資が集まるはずです。
 ―日本人投資家の事業をどう考えますか
1987年以降のタイの発展は日本の外資によるものだと考えています。日本人投資家が多額の投資をし、タイは農業国から工業国へと変わりました。経済発展とその支援をしてくれたのは日系企業だと思いますし、日本人投資家と日本には感謝をしなくてはなりません。我々は今後もますます日本人投資家を歓迎するべきでしょう。
 ―10〜15年後、タイの不動産はどうなっていくでしょうか
不動産価値は継続的に上昇していくでしょうが、経済状態が芳しくなく、下落する時期もあるでしょう。例えば97年のアジア通貨危機が起こったときには、地価は2年連続でマイナス10〜12%下落しました。
全体的には土地価格は上昇していくでしょうが、それはいくつかの要因に影響されます。タイが安定して問題が起こらなければ、投資家がやってきて地価も10〜15年は上昇するでしょう。現在の価値の2倍にはなるのではないでしょうか。

 ―タイには高齢者用住宅はありますか
現在は多くはないですが、タイは過ごしやすく、外国人、特に日本人と親密ですから、今後は増えていくでしょう。

 ―将来的にタイ人の月収が上がれば住宅の価格も上がりますよね
経済状態が良好で、購入者がいれば地価は上がります。価格が上昇し、購入者も販売者も恩恵がある場合は問題ありません。しかし、不景気で誰も購入者がいなくなる場合は問題ですね。

 ―今後、日本人の顧客を獲得できると考えますか
私たちは日本にパートナー会社を持っていますし、アドバイスを提供する会社もあります。私たちのサービスを必要とする顧客がいれば、どこでも行くことが可能です。日本から投資家が来ればサービスを提供しますし、日本人投資家に対する研究や資産の評価査定も可能です。

 ―タイ以外で投資先として興味深い国はどこでしょうか
最も興味があるのはプノンペンです。理由は価格がすぐに上昇するためです。2番目は目下成長中のジャカルタ。3番目は投資家が非常に多いマニラです。

 


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