【亜州ビジネス編集部】
日立製作所と不二工機の中国法人である蘇州不二工機有限公司は16日、双方の協創を通じて、製品トレーサビリティ強化とサプライチェーン連係を実現するスマートな高効率生産システムを構築したと発表した。2020年10月から稼働している。
具体的には、蘇州不二工機のエアコン用自動制御機器の製造工場(江蘇省蘇州市)において、日立の子会社である日立解決方案(中国)有限公司が、日立のLumadaソリューションである製造管理システム「FactRiSM(ファクトリズム)」を導入した。これまで蘇州不二工機では、作業員が紙に作業実績を記録していたため、トレーサビリティを行うのに多くの時間を要していた。今後は「FactRiSM」によって製造現場から収集・蓄積する4Mデータを用いて網羅的な製品トレーサビリティを厳格かつ迅速に行えることから、品質管理体制の強化を実現するとともに、より詳細な作業実績の見える化によって作業効率の向上につなげることが可能となる。
さらに、「FactRiSM」と調達、生産、販売系の基幹システム・周辺システムとをシームレスに連係させることにより、事業全体のタイムリーな見える化が図れ、迅速な経営判断を支援する。これにより、蘇州不二工機はさらなる品質強化と生産性向上を目指す。
日立では今後、不二工機との協創で培ったノウハウ・技術を活用し、加工組み立て系製造業向けに、「FactRiSM」を核とした現場(OT)システムと経営(IT)システムとを融合したLumadaソリューションをグローバルに展開。顧客視点での事業価値の最大化を図る構えだ。
顧客に安全・安心な製品を供給するために、製造業では厳格な品質管理とともに、製品不具合発生時には早急に根本的な原因を特定し、対策を実施することが求められている。近年の急速なデジタル技術の進展や昨今の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、データを活用したトレーサビリティシステムを構築し、品質管理体制の強化と従業員の安全性の確保の両立を図ることが重要となっている。