【亜州ビジネス編集部】
ベトナム統計総局が27日発表した2020年の貿易統計(12月は推計値)によると、輸出額は前年比6.5%増の2814億7100万米ドル、輸入額は3.6%増の2624億700万米ドルとなり、190億6400万米ドルの貿易黒字だった。黒字額は過去最高だった前年の約1.9倍。中国から電子部品などの生産移転が進むなか、対米貿易で627億米ドルの大幅黒字となったことが大きい。
品目別にみると、最大の電話・電話部品は1.0%減の508億8000万米ドル。韓国サムスン電子がスマートフォンの世界生産の約半分をベトナムに集約しており輸出規模が大きい。輸出2位は電気・電子製品で24.4%増の446億6800万米ドル、3位は繊維・縫製品で10.2%増の294億7800万米ドルだった。輸出先をみると、米国が24.5%増の764億米ドルでトップ。これに中国が17.1%増の485億米ドル、欧州連合(EU)が2.7%減の348億米ドルで続いた。
輸入トップは電子製品・部品で24.6%増の639億7300万米ドル。2位の機械は1.7%増の373億5300万米ドル、3位の電話・電話部品は13.3%増の165億6500万米ドルだった。輸入元をみると、中国が11.2%増の839億米ドルでトップ。これに韓国が1.5%減の463億米ドル、東南アジア諸国連合(ASEAN)が6.9%減の300億米ドルで続いた。米国からの輸入は4.9%減の137億米ドルだった。
12月の輸出額(推計値)は前年同月比17.6%増の265億米ドル、輸入額(同)は22.7%増の275億米ドルで、収支は10億米ドルの赤字だった。
なお対ベトナム貿易で大幅赤字となっている米国は12月半ば、ベトナムを「為替操作国」に認定したと発表。貿易で有利になるよう意図的に通貨を切り下げていると主張している。一方でベトナム中央銀行はこれに反論。同国の金融政策は、貿易黒字を拡大するためでなく、インフレの抑制とマクロ経済の安定化のみを目的にしていると説明した。