【亜州ビジネス編集部】
足元の中国で、炭酸リチウム(Li2CO3)の需給が引き締まっている。リチウムの冬季減産などを見据えた供給縮小見通しや、動力電池の原材料としての実需拡大が背景だ。12月30日付の現地メディアによると、年末を前に川下業界が在庫の積み増しに動く中、多くの炭酸リチウムメーカーがほぼ「在庫ゼロ」の状態に陥っている。原材料コストの上昇もあり、炭酸リチウム相場は1トン当たり5万人民元(約79万円)台まで上昇した。
今年は1〜8月にかけて炭酸リチウム市況が下落し、3万4000人民元未満の安値に落ち込む場面もあった。ただ、11月以降に値上がり基調が鮮明化している。
市場関係者の間では、炭酸リチウム相場が当面上昇を続けるとの見方が優勢だ。国泰君安証券は最新リポートで、同相場が近く1トン当たり6万人民元の大台に乗せるとの見通しを示した。
炭酸リチウムは動力電池の原材料で、その価格を左右する要素の一つには新エネルギー車(NEV)市場の動向が挙げられる。中国のNEV市場は足元で「V字回復」のトレンドに移行。今年11月の国内生産・販売はそろって前年同期比で倍増を記録した。
この報道を受け、30日の香港マーケットでは炭酸リチウムの主要メーカーである江西カン鋒リ業(ガンフェン・リチウム:1772/HK)の株価が大幅上昇。前場は前日比5.98%高の93.05香港ドルで取引を終えた。