【亜州ビジネス編集部】
貿易産業省は4日、輸入完成車の一部に対する暫定的な緊急輸入制限(セーフガード)措置を導入すると発表した。
乗用車と小型商用車(LCV)を対象とし、それぞれ1台当たり7万ペソ(約15万円)、11万ペソを課す。フィリピン金属労働者連盟(PMA)の申請を受けた措置で、同省は輸入車の増加が国内自動車業界に深刻な打撃を与える可能性があると判断した。
関税局による命令の発布後、200日間にわたって暫定措置を適用する。期間中に調査を進め、正式導入について検討する。ロペス貿易産業相は、いすゞが19年7月に1トンピックアップトラック「D-MAX」の生産を停止し、ホンダが20年初めに工場を閉鎖したことが、国内の雇用と経済全体に影響したと指摘。「国内産業のために公平な競争の場を確保する必要がある」と主張した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)から輸入される完成車の関税がゼロとなっており、タイやインドネシアからの輸入が多い。乗用車の年間輸入台数は、2014年から18年の間に35%増加。国内市場シェアは70%超に拡大した。LCVも輸入が増えており、18年のシェアは93%に達している。自動車・部品メーカーの雇用数は18年に前年比8%減少した。