【亜州ビジネス編集部】
中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)は18日、自社が開発した新型コロナウイル感染症ワクチン「克爾来福(CoronaVac:コロナバック)」について、ブラジルでの治験に関する最新検証で70%近い有効性が確認されたと報告した。ブラジルの研究チームが今月12日に発表した数値(50.4%)を20ポイント近く上回る結果だったと説明している。
ロイター通信がシノバックの発表として伝えたところによると、ワクチン接種の間隔の違いが「有効性50.4%」という過去データとの差につながったという。9000人余りが対象となった「コロナバック」の臨床試験で、大部分の被験者が2週間間隔で2回の接種を受けていた。残る少数が3週間間隔で2回の接種を受けたが、ワクチンの有効性は後者がより高かったという。
世界保健機関(WHO)はコロナワクチンに求める有効性の目安を50%としているが、「コロナバック」の有効性を巡ってはさまざまな数字が飛び交っており、データの信頼性を疑問視する向きもある。中国以外では初めて「コロナバック」の緊急使用を認めたインドネシアは、国内の治験で65%の有効性が確認されたことを明らかにした。このほか、トルコは昨年12月、シノバック製ワクチンの有効性を91.25%と発表。ただ、インドネシアやトルコの治験は参加者が少なく、十分な結果を得られなかった可能性が指摘されていた。
なお、感染者数が世界で3番目に多いブラジルは17日、「コロナバック」と英アストラゼネカが開発したワクチンの2種について、国内での緊急使用を認めた。サンパウロ州ではすでに、ワクチンの接種が始まっている。
なお、中国製コロナワクチンでは、中国医薬集団(国薬集団:シノファーム)傘下の中国生物技術が昨年末に初期分析結果を発表し、79.34%の予防効果が確認されたと報告した。中和抗体陽転率(免疫ができる割合)は99.52%に達しているという。