【亜州ビジネス編集部】
インドネシア中央統計局は5日、2020年の国内総生産(GDP)成長率が前年比でマイナス2.07%だったと発表した。
マイナスはアジア通貨危機下にあった1998年以降で初めて。新型コロナウイルスの世界的流行で国内の経済活動が停滞し、輸出も低調だった。
政府の予想レンジ(マイナス1.7〜マイナス2.2%)に収まったが、ロイターのアナリスト予想(マイナス2.0%)を下回った。アナリストらは、国内で新型コロナ感染が収まらず、第2波の抑制に向けジャカルタで2度目の「大規模な社会的制限(PSBB)」が9〜10月に講じられたことで回復が鈍ったとしている。
成長率を支出別にみると、政府支出が唯一のプラス。政府が695兆2000億ルピア(約5兆円)の国家経済復興プログラムを打ち出したことが背景にある。一方、GDPの過半を占める個人消費がマイナス2.63%だったほか、設備投資や輸出、輸入も落ち込んだ。
産業別の成長率は、運輸・倉庫がマイナス15.04%、ホテル・外食サービスがマイナス10.22%と2桁の落ち込み。また、製造はマイナス2.93%、建設と商業は3%を超えるマイナスだった。一方、情報通信は10.58%で2桁のプラスだった。
1人当たりGDPは5690万ルピア(約42万7000円)で前年から3.7%減少。米ドル建てでは3911.7米ドルで、6.3%減少した。
■4Qは2.2%減
第4四半期のGDP成長率は前年同期比マイナス2.19%。3四半期連続のマイナスだが、下げ幅は2四半期連続で縮小した。支出別では唯一のプラスだった政府支出の伸びが前四半期から鈍化。個人消費はマイナス3.61%だった。
前四半期比ではマイナス0.42%と、第3四半期のプラス5.05%からマイナスに転じた。大規模社会的制限の影響が大きく、製造業はマイナス0.38%だった。
政府は21年のGDP成長率をプラス4.8〜5.8%と予想。1月半ばから再びジャカルタなどで大規模な社会的制限が敷かれた一方、同時期には新型コロナワクチンの接種が始まった。政府の景気対策や世界経済の回復を背景に、リセッション(景気後退)を脱するかに注目が集まる。