【亜州ビジネス編集部】
アジア開発銀行(ADB)は28日発表した「アジア経済見通し2021年版」で、東南アジアの2021年の国内総生産(GDP)成長率予測を4.4%とし、20年12月の前回発表の5.2%から引き下げた。
20年のマイナス4.0%からは回復するものの、新型コロナウイルス感染の再拡大や、ワクチン接種の遅れなどに懸念が残るとしている。
感染再拡大で活動制限が再び強化されたタイなどで下方修正した。同国の21年のGDP成長率は3.0%にとどまると予測。新型コロナによる貿易や観光への影響が続くとみている。ただ、各国でワクチンが普及する22年は4.5%に加速すると見込む。
マレーシアの21年の成長率は6.0%の高水準を期待できるものの、活動制限の強化で建設活動が滞り、投資が伸び悩む見通し。フィリピンも感染再拡大で先行き不透明な状況が続くとみている。
一方、貿易や投資が好調なベトナムは6.7%に上方修正。また、インドネシアはコモディティー価格の上昇が追い風となり、21〜22年にかけて順調な回復が続くと予測した。
東南アジア以外も含むアジア開発途上国全体の21年の成長率は、7.3%と予測。中国とインドがけん引するとみている。