【亜州ビジネス編集部】
財務省は、2023年までに国内総生産(GDP)成長率を6.0%に加速させる目標を設定した。スリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相が明らかにしたもので、これをベースに22年から年度予算を組む考え。20年10月に国会で承認され、21年初めに一部細則が出された外資誘致を促す「オムニバス法(雇用創出法)」を運用することで、成長を加速できるとしている。ジャカルタポストが4月29日付で伝えた。
同相は、22年は人材育成やインフラ開発、オムニバス法運用による改革に重点に置くと説明。同法に基づいて投資や雇用を促進することで、財政に大きな負担をかけず23年までに成長率6.0%を達成できるとみている。
政府は、21年のGDP成長率目標を4.5〜5.3%に設定。22年は5.4〜6.0%としている。一方で財務省は、22年は通常シナリオでは成長率が5.2%を見込むが、オムニバス法に基づいて雇用や投資を加速させれば5.8%に高めることができるとみている。
オムニバス法では、投資や雇用に関する法令を改定・一元化し、これまでの矛盾点をクリアにする。投資手続きを大幅に簡素化させるほか、最低賃金や契約社員の取り扱いなどを改定する。
インドネシアの20年のGDP成長率はマイナス2.1%で、アジア通貨危機下にあった1998年以降、22年ぶりのマイナス成長となった。財務省は、新型コロナウイルス流行によりGDPの8.8%に当たる1350兆ルピア(約10兆円)の経済的損失が生まれたと試算している。