【亜州ビジネス編集部】
タイ中央銀行は5日、定例の金融政策決定会合の結果、政策金利(翌日物レポ金利)を0.5%に維持すると発表した。過去最低の金利水準を8会合連続で据え置いた。
3月下旬以降に新型コロナウイルス第3波が拡大する中、低金利を維持しつつ、利下げ余地を残した格好。一方、2021年の国内総生産(GDP)成長率は従来予想の3.0%から落ち込む可能性を指摘している。
中銀は、観光客の受け入れ再開が新型コロナ第3波の流行によって遠のいたと説明。一方で輸出が伸びており、これが国内経済を支えるとしている。
21年のGDP成長率予想は3.0%としているが、中銀は今回、新型コロナワクチン接種による集団免疫の確立時期が遅れるほど成長率が低下する可能性を指摘。
21年のGDP成長率は、下記としている
◆集団免疫確立が22年第1四半期となるシナリオでは2.0%(22年は4.7%)
◆免疫確立が22年第3四半期となるシナリオでは1.5%(22年は2.8%)
◆免疫確立が22年第4四半期となるシナリオでは1.0%(22年は1.1%)
ただし、これらは政府が今後打ち出すと予想される支援策の効果を考慮していない。正式な経済成長予想は次回会合後に発表する。
中銀はまた、新型コロナ第3波により労働市場も悪化すると予想。失業率は20年第4四半期の1.9%から22年末には2.7〜2.9%に悪化する可能性があるとしている。
中銀は20年の年初から3度の利下げによって政策金利を0.75%引き下げ、過去最低水準とした。今後も金融緩和姿勢を維持し、財政拡大により景気刺激を図る政府と歩調を合わせるとしている。