【中国】超過出産の罰金廃止、税金控除など子育て支援も検討

【亜州ビジネス編集部】

中国共産党と国務院は20日、3人目以上の出産に対して科していた罰金「社会扶養費」を廃止すると発表した。産児制限の緩和に合わせた措置。

併せて、3歳以下の子どもに関連する養育費を所得税の控除範囲に加えることを検討する方針も明らかにした。子育て支援の仕組みを整え、少子高齢化に歯止めをかけたい考えだ。

「人口の長期的でバランスの取れた発展」を促すための措置として発表されたもので、少子高齢化の進展に強い警戒感をにじませた。中国共産党と国務院は発表した文書の中で、「第14次5カ年計画(2021〜25年)中に中国は中度の高齢化段階に入り、35年前後には重度の高齢化段階に突入する」と指摘。25年までに出産、養育、教育コストを著しく低下させるほか、出生率の引き上げ、出生人口の性別比の偏り是正などに努める方針を示した。また、35年までに一段と出生率を高め、人口構造を改善させるとの長期目標も掲げた。

出産を促すための子育て支援策としては、前述の所得税控除のほか、幼稚園に2〜3歳児を受け入れるよう促すこと、未成年の子どもがいる家庭の賃貸住宅に対して地方政府が家賃を補助することなどを検討する方針が示された。

なお、超過出産の罰金「社会扶養費」は地方によって徴収基準が異なる。首都・北京市では超過出産1人当たりで、同市の平均可処分所得(直近年度)の最大3倍に相当する罰金が科される。

中国では今年5月、これまで夫婦1組につき子ども2人までとしていた産児制限を3人までに緩和する方針を表明。国家衛生健康委員会によると、同緩和措置は5月31日付で実施されている。一部では「罰金が廃止されれば、4人目以降の出産も黙認される」との見方もあり、実質的な産児制限全廃につながる可能性が指摘されている。


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