【亜州ビジネス編集部】
商務省の発表によると、2021年6月の輸出額は前年同月比43.8%増の236億9940万米ドルだった。前月比では2.8%増え、3月に次ぐ過去2番目の規模に拡大。
前年同月に新型コロナウイルスの影響で低迷していた車両・部品が回復したほか、電気・電子、農産物など多くの品目で2年前の19年6月の水準も上回った。一方、資源高を背景に輸入額も高い伸びが続いており、6月は53.8%増の227億5440万米ドルに拡大。貿易収支は9億4510万米ドルの黒字だった。
輸出額の内訳は、全体の8割を占める主要工業製品が44.7%増、2割弱の農産物・加工品が36.0%増など。変動の大きい金、石油と武器を除く輸出額は41.6%増だった。
工業製品では主力の車両・部品が1.8倍に増加。豪州やベトナム、日本への輸出が増えた。特にベトナム向けは4.4倍に増えており、商務省は同国が輸入規制を緩和したことが要因と説明している。ほか、世界的な在宅勤務の普及を背景に家電やコンピューターも好調。タイヤやゴム手袋などゴム製品も大幅増が続いている。農産物に含まれるゴムは生産低迷で値上がりしており、輸出額が111.9%増と、輸出量の41.4%増を上回る伸びをみせた。一方、価格競争力が低下しているコメは、輸出量が4カ月ぶりの増加に転じたものの、輸出額は7カ月連続の前年割れとなった。
国別の輸出額は、最大の米国向けと2番目に大きい中国向けが4割拡大。3番目の日本向けは32.3%増で、車両・部品、化学品、鉄鋼・鉄鋼製品などがけん引した。
一方、輸入額は、前年同月に値下がりしていた原油などの燃料が1.8倍に急伸するなど、各品目とも大きく増加。原材料・半製品では鉄鋼・鉄鋼製品と銅、アルミニウムが前月に続き倍増した。
1〜6月の累計は、輸出額が前年同期比15.5%増の1323億3460万米ドル、輸入額が26.2%増の1298億9550万米ドル、貿易収支が24億3920万米ドルの黒字だった。タイ中央銀行は6月、21年の年間輸出額が前年比で8.8%増加するとの予測を発表。輸出先国の景気回復を見込み、3月時点で予測した5.2%増から上方修正した。20年は6.0%減の2314億6840万米ドルだった。