【亜州ビジネス編集部】
マレーシア中央銀行は13日、2021年第2四半期の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比16.1%だったと発表した。
5四半期ぶりのプラスで、新型コロナウイルス流行第1波で景気が大きく落ち込んだ前年同期の反動で大幅増となった。ただ通年の成長予想レンジは従来の6.0〜7.5から3.0〜4.0%に下方修正。長引く新型コロナ流行と活動制限が経済の重しになるとみている。
第2四半期は出だしこそ好調だったが、新型コロナ再流行で6月から全国的な活動禁止令(MCO)が敷かれたことで後半は冷え込んだ。
産業別にみると、建設業が40.3%で最も高い伸び。少なくとも20年以降で初のプラスとなった。製造業も26.6%で2桁の伸び。4四半期連続でプラスとなり、前四半期の6.6%から加速した。鉱業は13.9%、サービス業は13.4%でともにプラスに転じた。農業はマイナス1.5%で唯一縮小した。
成長率を支出別にみると、個人消費は11.6%で、5四半期連続ぶりのプラスだった。民間投資は17.4%で、2四半期連続でプラス。また、政府支出や公共投資も伸びたほか、貿易が特に活発で輸出入とも3割を超えるプラスとなった。輸出ではとりわけ電気・電子製品の出荷が好調だった。
成長率は前四半期比(季節調整済み)でマイナス2.0%。2四半期ぶりのマイナスで、6月からの全国規模のMCOの影響が出た。
中銀は、長引く新型コロナ流行と全国的な活動制限を考慮して、21年の成長予想を下方修正。ただ、回復基調は続くとの見方を示した。必需産業で操業継続が認められ、リモートワークの普及が拡大し、工場の自動化やデジタル化が進む土台があるうえ、打撃を受けた企業や世帯を政府が支援する中で、活動制限による打撃が緩和されると見込む。