【中国】車産業に圧力多数、「半導体チップ」の次は「アルミ」不足

【亜州ビジネス編集部】

中国でもアルミニウム材料の値上がりが目立っている。

主要市場の上海先物取引所では13日、中心限月でかつ期近物の「アルミ先物10月限(AL2110)」がトン当たり2万3890人民元(約40万6100円)にまで一時急伸し、15年近くぶりの高値を切り上げた。年初来の上昇率は、累計で50%を超えている。毎日経済新聞などが16日に伝えた。

低廉な材料としてアルミ缶や飲料パック、型枠、建材などに幅広く使われてきたものの、この状況は一変する可能性がある。石炭やアルミナの値上がりが逆風となるほか、雲南省、広西チワン族自治区、内モンゴル自治区、河南省などで電解アルミの減産が進行中だ。エネルギー多消費産業の電力使用抑制などが指導されたためという。

こうしたなか、自動車産業の増産を阻む要因として、半導体チップに続いて、アルミ箔など一部素材の不足感も強まっている。新エネルギー自動車(NEV)に必要な動力電池向けに需要が急拡大しているためだ。電池の急ピッチな増産が求められるなか、素材のアルミ箔にも需給ひっ迫が及んでいる。

中堅メーカーの江蘇中基複合材料股フン有限公司によると、すでに今年いっぱいはアルミ箔の受注が満杯の状況。NEV用動力電池メーカーの大口注文が舞い込んだ。前年同期比でアルミ加工費を10%引き上げたにもかかわらず、需要に応えきれていないという。また、あるメーカーは一般の製造ラインを改造し、動力電池向けアルミ箔の生産に乗り出した。別のメーカーは、24時間態勢の増産に着手したという。

国家統計局によると、NEVの全国生産数量は、今年8月が151.9%増の33万台(前月比↑14.2%)、1〜8月の年初来累計が179.6%増の191万8000台に伸びた。

この流れを受けて、車載動力電池も増産態勢を強めている。業界団体の中国汽車動力電池産業創新聯盟によると、今年8月の生産量は、静電容量ベースで前年同期比161.7%増の19.5GWh(1950万kWh)規模に拡大した。前月比では12.3%増えている。1〜8月にかけた年初来の累計では、201.0%増の全国111.5GWhに膨らんだ。一方、8月の車載量は12.56GWh。前月比で11.2%、前年同期比で144.8%ずつ伸びた。


亜州ビジネスChina
https://ashu-chinastatistics.com/

この記事をSNSでシェア!


一番上へ戻る