【亜州ビジネス編集部】
イスマイルサブリ・ヤーコブ首相は27日、2021〜25年の中期国家開発計画「第12次マレーシア計画(12MP)」を議会に提出した。
8月に発足した新政権にとって舵取りの方向性を示す重要な計画で、この間の国内総生産(GDP)成長率は年4.5〜5.5%と高い目標を掲げる。新型コロナウイルス禍からの経済回復に重点を置きつつ、高所得国入りに向けて成長を加速させる。各紙が27日付で伝えた。
GDP成長率は、16〜20年の実績である年平均2.7%から大幅に加速させることを目指す。第11次計画(11MP)では最初の4年間に年平均4.9%と高い成長を遂げたが、新型コロナの影響で20年はマイナス5.6%と、22年ぶりの大幅な後退となっていた。
産業別の年率成長率は、製造業が5.7%と最も高い伸びを目指す。サービス業は5.2%、農業は4.2%、建設業・鉱業は2.6%が目標。とりわけ電気・電子(E&E)、航空宇宙、観光、スマート農業、バイオマス、クリエイティブ、イスラム教の戒律に沿ったハラルの各業種で高い成長を目指す。
労働生産性の伸び率は年3.6%と、11NPの1.1%から大幅に加速させる。先進技術の導入や、付加価値の高い製品の製造などにより実現を目指す。これを支える通信インフラ環境の整備も加速させ、第4世代(4G)通信網の人口カバー率は100%とし、第5世代(5G)は都市部を中心とした900万人が利用できるようにする。
政府による開発投資は5カ年で4000億リンギ(約10兆6000億円)と、11MPの2600億リンギから5割強増やす。この間に進める大型案件は、東海岸鉄道(ECRL)建設やジョホールバル〜シンガポール快速鉄道(RTS)など。財政赤字については、新型コロナ流行下における政府支出拡大で20年にはGDP比6.2%まで拡大したが、経済の本回復を見込む23年には正常に戻す。
最終年度となる25年の1人当たり国民総所得(GNI)は5万7882リンギで、20年から36.2%高める。月額の世帯収入は25年に1万65リンギを目指し、20年の7160リンギから40%高める。
NP12は、新型コロナ流行や政権交代の影響で1年遅れの計画提出となった。今後議会で審議が行われる。