【亜州ビジネス編集部】
三菱商事と千代田化工建設は4日、千代田化工の水素貯蔵・輸送技術(スペラ水素)を活用したシンガポールにおける商業規模でのクリーン水素サプライチェーン事業の調査と実現に向けて、政府系セムコープ・インダストリーズとの3社間で戦略的提携の覚書を締結したと発表した。
シンガポール政府は2020年に長期低排出発展戦略を発表し、2050年までに同国の二酸化炭素(CO2)排出量を30年の半分(年間3300万トン)に削減し、21世紀後半のできるだけ早い時期にCO2排出量の実質ゼロ達成を目標に掲げている。水素と低炭素技術の導入は重要な取り組みの一つと位置付けられており、三菱商事と千代田化工建設はスペラ水素技術の活用による貢献を目指している。
今回の覚書を通じて、セムコープの発電施設での天然ガスとの水素混焼を通じた脱炭素施策を視野に、シンガポール国外でカーボンフリーの水素を調達し、国内に供給するサプライチェーンの構築を目指す。展開に当たって、セムコープのエネルギー分野のノウハウに加えて、千代田化工の水素貯蔵・輸送技術、三菱商事のグルーバルネットワークの強みを融合させる。
スペラ水素は、水素と化学物質のトルエンを結合させて常温常圧で輸送できる特徴を持つ、千代田化工の独自開発技術。化学的に安定しているため取り扱いが容易で、既存の石油・石化製品の規格やインフラを活用することが可能だ。