【シンガポール】金融管理局、予想外の引き締め決定

【亜州ビジネス編集部】

シンガポール金融管理局(MAS)は14日、金融政策会合の結果、金融引き締めに転じる決定を下したと発表した。

市場関係者の予想外の決定で、新型コロナウイルス禍で景気下支えを行ってきた政策から舵を切る。物資の供給不足や世界経済の回復によりインフレ圧力が高まる中、3年ぶりの引き締めを決めた。

シンガポールは貿易立国であることから、MASは金利ではなく主要貿易相手国の通貨に対する為替レートで金融政策を調整。通貨バスケットに対するシンガポールドル(Sドル)の名目実効為替レート(NEER)の傾斜、中央値、許容変動幅を変えることで景気や物価の安定を図る。変動幅を超える場合はMASが介入する。

MASは今回、NEERの中央値と許容変動幅を据え置いた。ただ傾斜をSドル高方向にやや傾けることで、より早くインフレ圧力の高まりに対応する。2021年のインフレ率は0〜1%、22年は1〜2%を見込んでいる。

引き締めは18年10月以降で初めて。ロイター通信によると、多くの市場関係者が22年4月以降の引き締めを想定しており、想定外に早い動きとなった。ただDBSのアナリストは、「ファンダメンタルズの変化に応じた引き締めであり、大幅なインフレ上昇やリスク台頭が見られない限り、さらなる引き締めは当面ないだろう」としている。


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