【亜州ビジネス編集部】
新型コロナウイルス対策の厳格なソーシャル・ディスタンス(社会的距離)措置が緩和され、工場再開が進む南部地方で、雇用競争が激化している。各社が稼働率を引き上げるため、企業がこぞって求人を出している状況だ。VNエクスプレスが20日付で伝えた。
液晶ディスプレー(LCD)や冷蔵庫の部品をホーチミン市トゥードゥックで生産する韓国系のデヨン電子ベトナムは、稼働率を現在の80%から引き上げるため、管理職を含め200人の求人を出した。また新型コロナ禍で近隣省市の故郷に待避した従業員に対しても、市内への移動や到着後のワクチン接種を約束することなどを条件に職場復帰を呼び掛けている。
台湾系の米菓メーカーであるウォント・ウォント・ベトナムも品質管理から総務、輸送、経理、通訳、現場作業員に至るまで幅広い職種の求人を出した。受注が回復しており、多くの労働者が去った現状では生産が追い付かないという。
人材仲介大手マンパワーグループのグエン・スアン・ソン人材仲介サービス部長は、ホーチミン市や近隣の主要工業ハブでは人材不足が著しいと指摘。とりわけ電子や縫製品、木材・木工品、観光、ホテルなど労働集約型の産業ではその傾向が顕著だという。
統計総局によると、7月から9月15日までに職場のある省市を離れ故郷に待避した労働者は130万人。ソン部長によると、今後再びロックダウン(都市封鎖)が講じられるリスクを考慮して、企業はできるだけ地元の労働者を雇う傾向にあるとしている。