【亜州ビジネス編集部】
日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表した海外進出する日系企業の実態調査によると、2021年に営業黒字を見込む日系企業の割合は東南アジアで57.1%にとどまり、中国の72.2%や全体平均の62.6%を下回った。新型コロナウイルス対策の活動制限が生産活動に大きく影響したベトナムで54.3%と低く、同国では28.6%の企業が赤字見通しだった。タイでは黒字を見込む企業が62.6%で、平均と同率だった。
調査は年1回行われている。21年は海外82カ国・地域の日系企業1万8932社を対象として、8〜9月にオンライン配布・回収によるアンケートを実施。7575社から有効回答を得た(有効回答率40.0%)。全体では黒字企業の割合が前年から14.6ポイント上昇。ただ、リーマン・ショック後に比べると回復が鈍いという。
22年に営業利益改善を見込む企業の割合は、全体で48.3%。東南アジアではベトナムが56.2%と全体を上回る一方、タイでは46.6%にとどまった。
現地での事業拡大意欲もベトナムで高く、今後1〜2年に事業拡大を計画する企業の割合は全体平均が44.9%、ベトナムが55.3%、タイが40.4%だった。
資源高や輸送コスト上昇などで販売価格を引き上げる企業の割合は、東南アジアで30.8%となり、北米の51.9%や欧州の46.1%に比べ低かった。うちベトナムは34.7%だった。