【亜州ビジネス編集部】
日本製鉄は21日、電炉から熱延鋼板を生産する鉄鋼大手、GスチールとGJスチールの2社を子会社化すると発表した。
米系のファンドから株式49.9%ずつを取得する。取得額は計3億米ドル。建材向けなどの汎用品を一貫生産する両社を傘下に置くことにより、現地で拡大する需要を取り込む。また、脱炭素化に向けて電炉での高級鋼製造を目指しており、両社が拠点になり得るとの判断もあって投資を決めた。
買収額はGスチールが1億1700万米ドル、GJスチールが1億8300万米ドル。来月にも取得できると見込む。両社ともタイ証券取引所(SET)に上場していることから、ファンドの保有株を取得した後は、SETの規則に従い強制公開買い付け(MTO)を実施する。買い付け価格はGスチールが1株0.27バーツ(約0.93円)、GJスチールが0.59バーツに設定した。
日本製鉄はタイで、日本から輸入した半製品に冷延・メッキなどの加工を行って高級鋼を生産。自動車や家電といった製造業向けに供給してきた。ただ、建材向けなど一般的な薄板製品の需要を取り込むには、現地で一貫生産体制を整備する必要があると判断し、今回の買収を決定。熱延鋼生産で合計300万トンの年産能力を有する両社を傘下に収めることで、堅調な成長を見込める熱延需要の補足を推進する。
一方、同社は高炉よりも温暖化ガスの排出量が少ない電炉での高級鋼製造を目指しており、買収する2社が具体的に事業を推進する拠点になり得ると見込む。また、高炉よりも小規模な電炉はタイの需要規模に見合っていることもあって、今回の投資が意義のあるものと判断したとしている。