【亜州ビジネス編集部】
フィリピン統計庁(PSA)は27日、2021年の実質国内総生産(GDP)成長率が前年比5.6%(速報値)だったと発表した。プラス成長は2年ぶり。政府が12月に予測した5.0〜5.5%を上回った。
ただ、依然として19年の水準には回復していない。国家経済開発庁(NEDA)のチュア長官は「22年は新型コロナ前の水準に回復させるだけでなく、上位中所得国入りを目指す」と述べた。
21年のGDP成長率は、前年に新型コロナウイルス流行の影響でマイナス9.6%と落ち込んだ反動もあって、高い伸びを示した。投資や輸出が拡大しており、特に世界経済の回復を受けて物品輸出が2桁増と好調。輸出額は19年の水準も上回って過去最高を更新した。また、7割を占める個人消費の伸び率は4.2%。年央には新型コロナ変異株「デルタ株」の流行で活動制限が厳格化されものの、前年のマイナス7.9%からプラス成長に転じた。
生産面から見ると、産業別では農業を除く各分野でプラス成長。農業は、アフリカ豚熱(ASF)や年末の台風の影響でマイナス0.3%と落ち込んだ。製造業は8.6%と、輸出の伸びに支えられて堅調だった。
第4四半期のGDP成長率は前年同期比で7.7%、季節調整済み前四半期比で3.1%だった。同長官は、ワクチン接種の進展で大規模な活動制限を行う必要がなくなり、今後もさらなる経済回復を見込めると述べた。政府は22年通期の成長率を7.0〜9.0%と予測している。