【亜州ビジネス編集部】
英調査会社IHSマークイットが1日発表した東南アジア諸国連合(ASEAN)の2022年2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.5となり、景気拡大と悪化の分かれ目である50を5カ月連続で上回った。指数は前月から0.2ポイント低下したものの、拡大基調を維持。需要の改善で生産や購買活動が活発化し、7カ国のうち5カ国で前月から上昇した。
7カ国の50を下回ったのはミャンマーのみ。また、指数が前月から低下したのは同国とインドネシアのみだった。インドネシアは新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、生産や新規受注の拡大ペースが鈍化した。
タイも新型コロナ感染数は増えているが、指数は過去最高の52.5に上昇した。需要が回復したためで、生産高の伸びが加速し、今後の見通しも上向いている。ただ、物価上昇や物流遅延が生産活動の重しとなっており、IHSマークイットは今後状況が悪化する可能性があると指摘した。
ベトナムの指数は21年4月以来の高さ。同国でも新型コロナ感染数は増えているが、生産高と新規受注の伸びが同月以来の高水準となった。労働力不足や物流遅延の問題は今後改善すると見込まれている。
マレーシアは生産高と新規受注の増加ペースが減速したものの、物流遅延への警戒から購買品在庫を積み増す動きが広がった。フィリピンは新型コロナ感染数が1月半ばから減少傾向にあり、活動制限の緩和に伴って生産高が拡大した。
IHSマークイットは今回の結果について、ASEANの製造業は力強い回復が続いていると説明。一方で、今後1年間の業況を楽観する見方が弱まっており、コスト高や物流遅延、新型コロナの影響への懸念が高まっていると指摘した。