【亜州ビジネス編集部】
中国の若者の間で「消費降級」(消費のグレードダウン)が進んでいる。新型コロナウイルス禍を受けて景気の先行き不透明感が強まる中、消費を控え、将来のために貯蓄しようとする傾向が強まっているという。具体的には、できるだけ公共交通を利用する、外食回数を減らす、家電は中古品を購入するといった方法があるようだ。香港経済日報が18日、本土メディアの報道を引用する形で伝えた。
報道によると、中国のSNSでは最近、「消費降級」「拒絶精緻窮」(洗練された貧しさを拒否する)といった単語がバズワードに躍進。「非剛需不購買」(必需品でないものは買わない)という考え方がコンセンサスになっている。インターネット関連企業に勤めるある若い女性は節約術として、フードデリバリーを減らし、自炊を増やしていることを明らかにした。この女性によると、昨年は1カ月当たり1万人民元近くに達していた月次の支出が、今年4月には3300人民元(約6万3100円)まで減少したという。
毎月4000人民元のマイカーローンを抱える26歳の若者は、車の維持費を節約するためにバスでの通勤に切り替えた。金融市場の不振で保有するファンドが含み損を抱えているため、支出を減らしているのだという。また、「95後」(1995〜1999年生まれ)の女性は、衣替えの季節はセールで服を購入し、家電や家具も中古品を購入するようになったと語った。
データ上でも、若者の消費行動がより「理性的」になっている様子が分かる。北京師範大学が若い世代の消費者を対象に実施したアンケート調査によると、買い物をする際に最も重視するポイントとして「コストパフォーマンス」を挙げた人が全体の7割を占めた。また、電子商取引(Eコマース)大手の京東が発表した消費行動に関するリポートによると、「必要な物のみ買う」と回答した人が全体の58.6%を占めたという。
一方で、若者の貯蓄志向は上昇している。フィディリティ・インターナショナルが発表したリポート(中国養老前景調査報告)によると、18〜34歳の収入に対する貯蓄比率は2021年に25%となり、前年の20%から上昇。4年ぶりの高水準を記録した。この世代の月平均貯蓄額は1624人民元となっている。