【亜州ビジネス編集部】
フィリピン中央銀行は19日、金融政策決定会合の結果、政策金利である翌日物借入金利(REP)を0.25ポイント引き上げ、2.25%にすると発表した。利上げは2018年11月以来、3年半ぶり。第1四半期の堅調な経済指標を確認後、新型コロナウイルス禍で打ち出した金融緩和策を正常化する方向に切り替えることを決めた。
フィリピンの22年第1四半期の国内総生産(GDP)成長率は8.3%と大幅な伸び。個人消費が10.1%と好調で、全体を押し上げた。一方で4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は4.9%と政府目標の2.0〜4.0%の天井を超えている。中銀は、インフレ率が22年に4.6%、23年に3.9%と高止まりすることが予想されることも利上げを決めた一因としている。
中銀は、景気回復がデータに表れているものの、リスクは複数介在すると説明。新型コロナ流行やウクライナ危機、世界経済の成長減速などがフィリピン経済の成長を鈍らせる可能性があるとした。また原油価格のさらなる上昇や輸送料金の高騰、豚肉や水産物の不足などによってインフレが加速する恐れがあるとしている。
今後については、経済成長や金融安定性、物価に注視し、金融正常化のペースについて細心の注意を払うとしている。
中銀は新型コロナ流行で景気が悪化した20年に5度の利下げで政策金利を2.00ポイント引き下げていた。