【亜州ビジネス編集部】
中国国営メディアの新華社(23日付)によると、国務院(内閣に相当)は直近の常務会議で、乗用車購入税を段階的に減らす方針を明らかにした。総額600億人民元(約1兆1500億円)を減じることで、消費を喚起する狙い。現時点で詳細は明らかにされていないが、中信証券は同措置により100万〜200万台の需要が刺激されると予測している。証券時報が24日伝えた。
中信証券は最新リポートで、購入税の減免は自動車販売を拡大するための最も有効な措置の一つと指摘。「自動車業界は最悪期を過ぎた」とし、今後の回復に期待感を示した。
一方、香港経済日報によると、マッコーリー証券は同措置について、ガソリン車の受ける恩恵が最も大きいと分析。購入税の軽減措置は、失われたガソリン車の需要を回復させる効果が期待できると指摘した。個別メーカーでは、上海汽車集団(600104/SH)、吉利汽車(175/HK)、長城汽車(2333/HK)が最大の恩恵を受けると予想している。
UBSも同様に、今回の措置がNEVよりガソリン車にとって有利になるとの見方。中国が掲げる「共同富裕」の路線に沿ったものであり、リチウム価格の一段の高騰を回避したい意向も反映されている可能性があると指摘した。個別メーカーでは、重慶長安汽車(200625/SZ)、長城汽車、吉利汽車が主な受益者になるとみている。
なお、業界団体の中国汽車工業協会によると、今年1〜4月の新車販売台数は前年同期比12.1%減の769万1000台。うち乗用車が4.2%減の651万台、商用車が39.8%減の118万1000台だった。