【亜州ビジネス編集部】
インドネシア中央銀行は24日、定例の金融政策決定会合の結果、政策金利(7日物リバースレポ金利)を3.50%に維持すると発表した。据え置きは15会合連続。一方、金融引き締めの一環として、市中銀行の預金準備率を6.5%から9月に9.0%へ引き上げると表明した。
預金準備率は、市中銀行が預金残高のうち中銀に預ける割合を示し、中銀がこれを上下することで金融市場の資金量を調整する。9.0%への引き上げにより、市場から110兆ルピア(約9500億円)の資金が吸い上げる。景気を下支えするため低金利は維持しつつ、物価上昇を抑えるため資金量を減らす狙い。
中銀は今回、2022年の国内総生産(GDP)成長率予想を4.5〜5.3%、インフレ率の目標レンジを2.0〜4.0%とし、ともに据え置いた。インフレ率については、年内に上限を突き抜ける局面がある一方、23年はレンジ内に収まるとみている。
ブルームバーグによると、ペリー・ワルジヨ総裁は会見で、物価高や金融正常化、ウクライナ情勢悪化など世界経済の成長鈍化につながるリスクは複数あると説明。インドネシアはインフレ圧力を抑制しているが、世界のコモディティー価格高騰による影響は今後も受け続けるとの見通しを示した。為替市場については安定していると指摘。国内経済については、堅調な輸出が成長をけん引していると分析している。
インドネシア経済は20年、新型コロナ流行を受けて22年ぶりにリセッション(景気後退)入りした。中銀は同年、5度の利下げで政策金利を計1.25%引き下げ、さらに21年2月に0.25%引き下げて過去最低の金利水準とした。その後は金利水準を据え置いている。同総裁は22年2月、利上げは22年第3四半期ごろ議題に載せると述べている。