【亜州ビジネス編集部】
バイデン米大統領は6日、東南アジア4カ国から輸入する太陽光パネルへの関税を2年間免除すると発表した。ベトナムとタイ、マレーシア、カンボジアの製品が対象で、米商務省が反ダンピング(AD)調査を進める最中の異例の決定。太陽光発電の普及拡大を目指す中、国内産業が成長するまで安価な輸入品を活用する。ベトナムプラスなどが伝えた。
4カ国のパネルについては、中国製が紛れ込んでいないか米商務省が4月からAD調査に乗り出していたが、大統領は独自の権限に基づいて関税免除を決めた。
米国が輸入する太陽光パネルのうち、これら4カ国からの製品は80%を占める。一方、中国製はトランプ前大統領下でAD税15.85〜238.95%、反補助金税11.97〜15.24%が賦課され始めたことで輸入が急激に落ちていた。米国内のメーカーは、中国製が制裁を回避するため4カ国を通じて迂回(うかい)されていると訴えており、商務省が調査に乗り出していた。
4カ国に対するAD税は250%にも上るとの憶測もあったが、大統領権限でゼロとなったことに、大統領が商務省の準司法手続きに深く介入したとの批判が出ている。一方、太陽光発電所の開発事業者は、AD調査の開始直後からパネル輸入が著しく落ち、開発も滞っていたとし、決定を歓迎している。