【アセアン】22年のGDP予測、タイなど5カ国下方修正=世銀

【亜州ビジネス編集部】

世界銀行(WB)はこのほど「世界経済見通し(GEP)2022年6月版」を発表し、東南アジア7カ国のうち5カ国で22年の国内総生産(GDP)成長率予測を1月時点から下方修正した。ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーや食品などの激しい価格高騰や、新型コロナウイルスで厳しいロックダウン(都市封鎖)措置をとった中国の経済減速の影響を受けるとした。


下方修正されたのはベトナムとカンボジアを除く5カ国。修正幅はタイの1.0ポイントが最大で、22年予測値を2.9%とした。食品とエネルギーの輸入依存度が高く、インフレ進行によって経済回復に遅れが出る懸念が指摘された。予想外の金融引き締めによって資本が流失すれば、インフレがさらに加速する恐れもあるとしている。

インドネシアの成長率予測は5.1%。国内需要の強まりとコモディティ価格の上昇に支えられるとして、下方修正幅を0.1ポイントにとどめた。23年成長率は5.3%に加速するとみている。

マレーシアは0.3ポイントの下方修正で5.5%の予測。ワクチン接種率の向上で需要が改善するものの、23年は輸出減少と財政・金融政策の引き締めによって4.5%への減速を予想している。フィリピンは5.7%へと0.2ポイント引き下げた。公共投資の継続と家計消費の回復が好感されるものの、23年はさらに5.6%へ減速するとみている。

ベトナムは唯一、成長率予測が5.8%へと前回から0.3ポイント引き上げられた。23年は6.5%にさらに加速する予測だ。カンボジアは4.5%で前回から据え置きだった。

世界全体の22年の成長率は2.9%と予測し、1.2ポイント下方修正した。


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