【亜州ビジネス編集部】
インドネシア中央銀行は23日、定例の金融政策決定会合の結果、政策金利(7日物リバースレポ金利)を0.25%引き上げ、3.75%にすると発表した。インフレ抑制が狙いで、利上げは2018年11月以来、3年9カ月ぶり。多くのアナリストが据え置きを見込む中、予想外の利上げとなった。
ブルームバーグなどによると、ペリー・ワルジヨ総裁は会見で、「今回の利上げは、物価上昇が今後加速すると見越して先手を放った格好」とコメント。補助金対象外の燃料や食品の値上がりなどを受け、インフレ圧力が今後も高まるとみて、利上げに踏み切った。
中銀は今回、22年のインフレ率予想を5.24%とし、7月に上昇修正した4.5〜4.6%からさらに引き上げた。コアインフレ予想も4.15%とし、従来の2.0〜4.0%から引き上げている。
中銀は、新型コロナウイルス禍からの経済回復を後押しするため、20〜21年に6度の利下げで政策金利を計1.50%引き下げ、過去最低の金利水準とした。その後1年半にわたり据え置いてきたが、同総裁は、経済回復が顕著にみられる中で利上げの余地があることから金融引き締めにかじを切ったとしている。
なお7月のインフレ率は前年同月比で4.94%と7年ぶりの高水準。ジョコ大統領が8月半ばに議会に提出した23年度予算案では、財政再建に向けて過度な補助金を縮小すると発表しており、燃料や電力、運輸などの分野で価格上昇が見込まれる。
商業銀行大手バンクダナモンのエコノミストは、年内にまだ政策金利を1.0%引き上げる余力はあるが、それ以上のペースで利上げすれば国内経済の下振れリスクが高まるとしている。