【亜州ビジネス編集部】
米国のコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーと交流サイト(SNS)大手メタ(旧フェイスブック)は、6日発表した東南アジアのデジタル経済に関する最新リポートで、域内主要6カ国の電子商取引(EC)市場が2022年に1290億米ドルとなり、前年から15%増加するとの予想を示した。
伸び率は前年の48%から減速するとの見方。新型コロナウイルス関連規制の緩和で実店舗での買い物が増えるほか、物価高による消費者心理の変化を背景に伸びが鈍化するとみている。ただ中期的には、27年まで年平均17%のペースで成長し、同年には21年比2.5倍の2800億米ドルに跳ね上がるとみている。
ベインとメタは、インドネシアとマレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6カ国で1万5767人の消費者を対象に6月実施した調査をもとに予測を立てた。国別ではインドネシア市場が最大で、22年は前年比14%増の560億米ドルに拡大する見込み。過去12カ月に1度でもECで買い物をした「デジタル消費者」は1億6800万人と、前年から9%増えるとみている。中期的にも市場は右肩上がりで、27年まで年平均17%のペースで成長し、同年には1210億米ドルに拡大する見通し。
次いで規模が大きいのはタイで、22年は18%増の230億米ドルを予想。27年までの成長率は年平均14%で、同年には460億米ドルになると見込む。
ベトナムは22年に16%増の120億米ドルに拡大すると予想。6カ国ではシンガポールに次いで規模が小さいが、27年まで年平均27%と最も速い成長を遂げるとみられ、同年の市場規模はタイに次ぐ400億米ドルが見込まれる。
その他の国の22年のEC市場規模は、◆マレーシア=150億米ドル(前年比15%増)◆フィリピン=140億米ドル(19%増)◆シンガポール=90億米ドル(7%増)――と予想。27年までの年平均成長率はフィリピンが20%と高く、マレーシアは11%、シンガポールは10%とみている。
主要6カ国のEC市場はより長期的な視点でみても成長するとの見方。30年までに15〜64歳の労働力人口が3100万人増え、上位中所得層以上が5100万人増えることが追い風になるとしている。